2001年にアムステルダムでマリオネットの劇団、Ulrike Quade Companyを立ち上げたUlrike Quade は、去年2012年1月に日本へやってきて、文楽、それに能や歌舞伎も学び、文楽の人形を使った作品を作ろうと決意。(彼女が大阪へ文楽を観に行ったとき、寝てしまってるお客さんがたくさんいたことに、とっても驚いていました!)舞台で使う人形も、日本の人形師、渡辺かずのり氏が担当していて、日本の人形が、着物ではなく、洋服を着ていて、髪の毛も金色や茶色というのは新鮮でした。
そして、日本が大好きなUlrikeは、なんと20年くらい前にはすでに日本に数ヶ月間滞在して、百鬼どんどろを創設した、故 岡本芳一さんに師事してました!人形遣いが一言もしゃべらないで人形の世界には絶対に入らない文楽とは違い、Ulrikeの舞台では、人形と語ったり、一緒にダンスしたり、同じ世界にいるように演じているのは、岡本さんの表現の仕方に影響を受けていると思いました。
http://www.ulrikequade.nl |
今回の舞台は、政治情勢が安定しない現在のオランダで、その状況をしっかりと見据えて、"人としてどう振舞うべきか?"を問うために、ギリシア神話の「Antigone(アンティゴネー)」を題材にしてます。
登場するのは、テーバイ王オイディプスの子、ポリュネイケス、アンティゴネー、イスメーネーの三人。ポリュネイケスは国から追放され、もう一人の兄弟エテオクレースと相討ちとなって死んでしまうのです。ポリュネイケスを葬ることを国の法律で禁じられたのに、アンティゴネーは自分の信念に従って、彼に砂をかけ弔い、そのことで捕まり、獄中で自害するという悲劇の物語!
photo: Anja Beutler |
私自身は、去年、大阪市の助成金の問題で話題になってから文楽が気になって少し調べたりしていた程度で、文楽劇場まで足を運んだこともないし、ほとんど知らないのですが、文楽では、人形たちの舞台と操る人立つ場所が分けられてることが多いと思います。だけど、Ulrikeの劇は、その人形のための舞台を取っ払って、人形と人との境界をなくし、前後の奥行きの動きを加え、さらにはジャンプして宙を舞ったりして、地からも自由になり、よりダイナミックで迫力あって、どきどきさせてくれる作品で、とっても面白かったです。
(ギリシア神話を元にしてるとは言っても、舞台は現代なので)森の中でカンフーしたり、銃を撃ち合うシーンで、操ってる人が1人ずつ倒れて、それと同時に操っていた部位が外れていくのが衝撃的だった、ポリュネイケス、牢獄に閉じ込められるシーンで操る三人でひっぱりながらも、同時に抵抗してる様子を表現していて、本当に4人いるように感じたアンティゴネー、1人寂しく残され最後もう一度登場して、この悲劇を痛み、タバコを吹かしながらちょっとしたユーモアを交えて語り、観客を虜にしていたイスメーネー、三人とも本当に魅力的でした!
知らないところで、こうやって外国の人たちが日本の伝統芸能を広めていってくれていたことにはとっても驚いたけど、日本人よりも文楽に詳しく、そして興味を持って研究して、日本人じゃ考えもしなかった方法で新しい作品を作り、世界で発表しているUlrikeとその作品たちに出会えて、本当にうれしかったです。日本にいた頃はほとんど興味なかったのに、こうやって外国の人たちから文楽のことを教わったのは、少し変な感じがするけど、もっともっと文楽観てみたくなりました!
Ulrikeのマリオネットカンパニーでは、文楽の作品だけではなくて、人形や着ぐるみ、マスクを使った、様々な作品を作っています。積極的にいろんな人たちとコラボしたり、世界のマリオネットの権威ある賞を受賞していたり、他の作品もかなり面白そうで、もっともっと観たくなりました!来年までにすでに二つも新しい作品の準備をしているみたいなので、また会えるのをすごく楽しみにしてます!!
追記>
百鬼どんどろ、そして岡本芳一さん
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