数年前に日本に帰ったときに、電車の広告でZINGAROという、馬に乗りながらパフォーマンスをするスペクタクル集団がパリからやってくる!っていうのを見つけてから、ずっとずっと彼らのことが気になっていた。そのときはチケットが1万円以上する公演でなくなく諦めたけど、パリでいつか絶対観ると心に決めてた。そのZINGAROではないけど、ZINGAROを主宰しているBartabasが、2003年にずっと使われていなかったヴェルサイユ宮殿の大厩舎に設立した馬術アカデミーの学生たちと、アメリカの振付家Carolyn Carlson率いるダンサーたちのコラボレーションの公演を偶然見つけたから、観に行ってみることにした。
http://www.photoscene.fr/index.php/rubriques/portfolios/we-were-horses-carolyn-carlson-et-bartabas |
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衣裳もよかった。土の舞台に、アースカラーがとても合っていて、真っ白の馬がより白く、引き立ってみえた。長い槍を担いで、舞台の双方から駆け抜け合う、その馬と馬が交差するときの緊迫感がすごい!一列目は砂が飛んで来るくらい近くて、その風も受けることができて、会場の土と馬の匂い、土の湿った感触、それに音楽と馬の息づかい、そういうの全部が目を閉じてても体じゅうからその空気感を浴びていられて、脳の中まで刺激された気分。
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Carolyn Carlsonは、70-80年代にパリオペラ座のプリンシパル(エトワール)として名を馳せた人。同時に振り付けもしていて、ヴェニスに行ったり、ヘルシンキに行ったりしながら、1999年にパリにatelier de paris Carolyn Carlsonを設立する。その後、2004年からは、フランスに19ある国立の振付センターのひとつ、Centre chorégraphique national Roubaix のディレクターも務めてる人。フランスに、国立のダンス協会みたいなのがあるっていうのも驚いたけど、日本でいうところの、日本芸術文化振興会みたいなものかな。でも、その国立のセンターのひとつを、アメリカ人の彼女が長をしてるというは、日本じゃなかなか考えられないかも。
スペクタクルのほうはというと、正直、ダンサーたちだけのパートは、もの足りなさを感じてしまうほどに、馬の存在感が大きい。というのも、これまで全く馬に対して興味を抱いたこともなかったのだけど、馬たちが美しすぎた。そしてそれに跨る女性たちが凛々しくて本当にかっこいい。ジャンヌ・ダルク。動物と一緒のこういうスペクタクルって、サーカスとか、そういうものしか思い浮かばなかったけど、全く違う。動物って、臭いしちょっと汚いし、子どもみたいでかわいい、っていうそういう、動物の尺度で考えられるものじゃなくて、そこには、全く次元の違った洗練された美しさがあって、はっとさせられてしまった!それは、もちろん、調教する騎手の女性たちの技術の高さのおかげだし、ここまで馬と人とが意思疎通してるように感じる演技に、どきどきしてくる!
ムッシューBartabas、もみあげがすごくって、もう少し面長だったらルパンみたいでかわいい。